新島地区地震災害調査4 | |
東京都水産試験場大島分場 | |
目 的 地震によって海岸崩落被害をうけた新島地区の漁場について約半年後の状況を調査した。 |
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方 法 調査年月日:平成13年2月23日 調査地点:モドヒガシ、ミコシタ、アマナグチ付近、アジア磯 調査方法:調査は調査船「かもめ」で行い、スクーバで潜水して水中ビデオおよび写真撮影を行った。 |
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調査員:工藤真弘、杉野 隆、駒沢一朗、山田雅行(かもめ) | |
図1.調査地点 |
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結 果 1.モドヒガシ(水深4〜12m) 陸上は前回(平成12年9月6日)とほぼ同様の状態で、海岸には依然として崩落した土砂が堆積しており、岸近くの海面は白濁していた。 前回は水深8mから潜降したが、海底近くは視界が極めて悪く漁場全体の様子は見通すことができなかった。今回の潜降地点の水深は7mであり、濁りは無かったが、水深5m付近から白濁しはじめ水深4m以浅は視界が確保できなくなり、進入できなかった。海底は水深8m付近までほとんど砂地となっており、ところどころに岩の頂部が露出していた(写真1)。水深8m付近から岩場となるが岩の間には砂が堆積しており転石は見られなかった(写真2)。砂地近くの岩の上には細かい砂(浮泥より荒い)が堆積していた(写真3)。 海藻はハリガネが優占し、アオサやトサカノリの幼体が点在したが、テングサは見られなかった(写真4)。サザエは砂地に点在する岩の頂部でも見られ(写真5)、水深8m以深の岩場には多数生息していた。 |
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写真1 | 写真2 |
写真3 | 写真4 |
写真5 | |
任意に採集したサザエ(15個体)の殻高組成では殻高40mm前後の若齢貝(1.5歳)の割合が高かった(図2)。 | |
図2.採集したサザエの殻高組成(モドヒガシ) |
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2.ミコシタ(水深5〜8m) 陸上の状況は前回とほぼ同様であり、海面の濁りは認められなかった。 潜降地点の水深は5mで付近は砂地となっていた。潜降地点は前回調査地点よりやや根浮岬よりであったが、砂の堆積量は前回より増加した模様であった(写真6,7)。 岩の表面には雑多な小型藻類が繁茂しており、トサカノリ幼体の群落も認められたが、テングサは見られなかった(写真8)。岩の表面には大型のクボガイが多数生息し(写真9)、サザエ、イセエビも認められた。 |
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写真6 | 写真7 |
写真8 | 写真9 |
3.アマナグチ付近(水深3〜12m) 陸上、海底とも崩落被害の形跡は認められなかった。任意に採集した32個体のサザエの殻高組成を図3に示したが、モドヒガシよりも大型の個体が多かった。 |
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図3.採集したサザエの殻高組成(アマナグチ付近) |
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4.アジア磯、水ヶ下(水深3〜5m) 陸上は前回(平成12年10月25日)とほぼ同様の様相であった。海岸の土砂はやや少なくなった印象を受けたが、岸近くの海面には濁りが残っていた(写真10)。 潜降地点(水深5m)では濁りは認められなかったが、水深3m以浅は依然として白濁していた(写真11)。岩の隙間の砂礫は減少しておらず、転石は埋没したままであった(写真12)。砂礫は前回より荒いものが目立ち、砂礫の移動によって岩礁の基部が摩耗していた。岩の上の浮泥はほとんどなくなったが、細かい砂が残っていた。また、ところどころに岩の間に挟まった木の枝が認められた(写真13)。 トサカノリが散在し、サザエの生息が認められたが、テングサは見られなかった。 |
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写真10 | 写真11 |
写真12 | 写真13 |