神津島潜水調査1 | |
船上から調査した結果、神津島の地震により島周辺の5〜6か所で土砂が海中に流入していることが確認された。そこで、流入した土砂が海中でどの程度の広がりをもっているかその概要を把握するため潜水調査を実施した。 | |
方法 調査月日:平成12年8月4日 調査地点:海中への大規模な土砂の崩落が確認された5か所(長浜、ハシルマ2地点、横瀬鼻、三浦湾)、およびその周辺(図1)。 調査方法:潜水観察もしくは海面からの観察により土砂の堆積状況、海藻・貝類の生息状況を把握する。また、船上から海岸・海中への崩落状況を確認する。 |
|
結果 今回の調査で確認された地震による海底への影響は大きく下記の3つのパターンに分 けられる。1.土砂の海底への堆積による中小転石の埋没、2.泥の岩上への堆積、3.巨岩転石の移動・反転。 1.土砂の海底への堆積量は海岸付近で最も多くなると考えられるが、地震が継続し危険であったため岸から50m以内には入らなかった。従ってこの付近の状況は不明である。岸から50〜100m程離れた水深5m以深では長浜で砂量の増加がみられたが、堆積量は比較的少なく岩の埋没による被害は少ないと考えられる。 2.泥の岩上への堆積はハシルマと三浦湾周辺でみられ、ハシルマでは堆積量が比較的 多かった。泥は岩上の小型海藻を覆っており、調査時点では海藻の枯死は確認されなかったが、今後堆積が長期化すれば、岩面の微小海藻、小型海藻の枯死が起こる可能性が高く、これらを餌としているサザエ等貝類への影響が懸念される。 ハシルマ東の崖は調査時点でも崩落が続いており、崖上部の土壌が海中に流入し、付 近一帯に堆積する泥の供給源になっている。この崖の崩落状況が今後の海中生物の生息量を左右すると思われる。 3.巨岩(径2〜3m)・転石の移動・反転は、三浦湾内で高い頻度で発生しており、同じ地形を持つ他の地先でも、類似の現象が発生したと思われる。岩の反転・移動は表側に着生していた海藻の枯死をもたらす。 なお、巨岩の移動・反転については地震の他台風の影響も考えられる。 |
|
図1.神津島地図 |
|
●長浜 水深5m 海藻の根元が砂に埋没 |
●ハシルマ西 崖の途中に不安定な巨岩がある。波うち際の岩には海藻が着生する。 |
●ハシルマ(成沢) 水深5m 岩上に泥が堆積。ハシルマ西より堆積量は多い。 |
●ハシルマ東 崩落の最上部に林があり、土壌が落下、海中の泥の供給源になっている。 |
●横瀬鼻 水深5m 砂地上の小石は角が丸く、地震以前の石。 |
●三浦湾 水深4m 高さ2m、奥行き3m程の岩。上部にテーブルサンゴが直立し、この岩が90°回転したことを示す。 |